マゼンタ

2016.09.06

遠い昔。
とある街に貧しい青年がいました。
青年は海に憧れていましたが、旅に出られるほどのお金はありません。
そんなある日、ひょんなことから豪華客船の片道切符を手に入れます。
意気揚々と船に乗り込む青年。
そこには、未知なる景色と、
忘れることのできない出逢いが
待っていたのです。





さようならの後に
おはようがないなんて
寂しすぎやしないかい
君は今もどこか
遠く近い場所で
柔らかな風に流れて


偶然手に入れた片道切符
途方も無い旅のはじまり
真新しい景色の中に
どこか懐かしい影

まだ君のことを
知らないから
昨日見た映画の話をしよう
あたたかく切ない
昔話の最後は

さようならの後に
おはようがないなんて
寂しすぎやしないかい
それを聞く君の瞳はどこか遠く
何かを見つめたまま


風に吹かれ
月が雲を脱いだら
本当の君に手をかざした
胸元の ペンダントは
マゼンタ色に優しく

さようならの後に
おはようがないなんて
寂しすぎやしないかい
明日もその次の日も
君の隣で
朝日を浴びたいなぁなんて


遠い ソラに
眠りにつく日
それは 二人 同じがいい
どうかこのままで…
マゼンタ 光が揺れる


さようならの後に
おはようがないなんて
寂しすぎやしないかい
だからどこへも
行かないでと願う舟は

さようならの後に
おはようがないなんて
寂しすぎやしないかい
さようならもないままに
眠ってしまった
目の前が滲んでく


僕の手には今も
色褪せないマゼンタ
少しも寂しくないよ